そもそもサーキュラー階段とは
サーキュラー階段は輸入住宅でよく見られる、曲線を持った回り階段のことです。弧を描くような形状をしており、ゆるやかな曲線で下階から上階へとつながっているのが特徴。映画の舞台装置のような華やかさがあることから、美術館や劇場に使用されることも多い階段です。豪華なデザインのサーキュラー階段を取り入れることが、ひとつのステータスにもなっています。
他の階段との違い
サーキュラー階段と普通の階段の違い
日本の住宅で多く見られるのは、下階から上階まで一直線につながっている「直階段」をはじめ、途中で折れ曲がってL字型になっている「かね折れ階段」、途中でUターンするような形状の「折り返し階段」などです。いずれも直線や直角のラインで構成されており、弧を描くような形状をしているサーキュラー階段とは異なります。
また、インテリアとしての側面を持つサーキュラー階段に対し、普通の階段は昇り降りするためのものとして廊下の奥や玄関から入ったすぐのところといった場所に配置され、存在感がないという違いも。最近ではデザイン性が高まってリビングに配置されるケースも増えていますが、単なる階段としての役割を求められることが多いでしょう。
サーキュラー階段と螺旋階段の違い
サーキュラー階段と螺旋階段はどちらも曲線を描く階段ですが、「必要な設置スペース」と「曲線の描き方」に違いがあります。
サーキュラー階段は存在感を放つインテリアとしても考えられているため、設置するには広いスペースが必要です。一方で螺旋階段は省スペースでも設置できることから、狭小住宅でも採用されています。また、サーキュラー階段がゆるく描くような曲線なのに対し、螺旋階段は中心に軸を持ってぐるりと回転するような円に近い形状をしているのが特徴です。
サーキュラー階段のメリット
デザイン性に優れている
サーキュラー階段の一番の魅力は、デザイン性の高さです。サーキュラー階段が描く独特のカーブは高級感や優美な印象を与えてくれるため、まさに豪邸にふさわしい階段と言えるでしょう。踏み板や手すりの素材に木材を使ってアンティークな印象に仕上げたり、大理石やアイアン素材で格調高い空間にしたり、と素材やデザインにこだわることで、自分の思い描く理想の空間に近づけることもできます。
豪華なシャンデリアと組み合わせれば、サーキュラー階段の持つ存在感やデザイン性をより高めることが可能です。
空間づくりを楽しめる
曲線を描くサーキュラー階段はインテリアに遊びを持たせられるので、空間設計をする際にさまざまなアイディアを取り入れられるのがメリットです。たとえばサーキュラー階段のカーブの形状に沿った壁を設置して曲線の壁面にしたり、窓の大きさや形、窓枠のカラーなどにこだわったり、とさまざまな楽しみ方ができます。
また、カーブの描き方を工夫すれば階段の昇り降りにリズミカルな要素を加えられ、ただの階段として終わらない特別な気分を味わえるのもサーキュラー階段の魅力です。
インテリアのメインになれる
存在感のあるサーキュラー階段を玄関ホールやリビングに設置することで、インテリアのメインとしての役割を期待できます。玄関扉を開けるとすぐに目に飛び込んでくる圧倒的な存在感と、映画のワンシーンを切り抜いたような美しいデザインは他の住まいとは違う特別感を演出してくれるでしょう。
リビングに設置すれば、インテリアの一部として暮らしを華やかに彩るアイテムになってくれます。
サーキュラー階段のデメリット
広いスペースの確保が必要
サーキュラー階段を設置するには広いスペースが必要となり、そのほかの居住空間が狭くなるデメリットがあります。ただ、建物の面積に余裕のある豪邸であれば、広いスペースの確保が必要という点はあまりデメリットに感じないかもしれません。むしろサーキュラー階段を設置できる余裕のある住まいとして、ひとつのステータスになるでしょう。
設計者の技量に左右される
サーキュラー階段をただ設置するだけでは、サーキュラー階段の魅力であるデザイン性やインテリア性、存在感を最大限に引き出せません。サーキュラー階段の魅力を引き出すにはどこに配置するか、カーブの緩急をどう付けるかなど住まいの内装に合わせたコーディネート技術と優れた設計力が求められます。
サーキュラー階段はインテリアのメインにもなれるほどの存在感があるので、住まい全体のインテリアの方向性とのバランスを考慮せずに取り入れると、違和感のある空間に仕上がってしまうことも。日本だとサーキュラー階段はまだまだ主流とは言えないため、依頼する設計事務所によっては効果的に設置するための技量が足らず、せっかくサーキュラー階段を取り入れてもおしゃれな空間に仕上がらない可能性があります。
サーキュラー階段を取り入れるのであれば、サーキュラー階段に精通した実績豊富な設計事務所に相談するようにしましょう。
サーキュラー階段を設ける場合のポイント
サーキュラー階段を設置するには、「スペースの確保」「蹴上高」「踏みしろ」の3つが重要になってきます。階段としての実用性とインテリアとしての美しい曲線を兼ね備えながら、住宅の限られたスペースを昇り切る工夫が必要です。また、サーキュラー階段に合わせて壁面も柔らかなラインを描くようにつくる必要があるので、サーキュラー階段を中心に間取りを考えていくことになります。
玄関ホールにこだわりたいのであれば、サーキュラー階段と合わせて玄関ドアやリビングのドア、ホールの床のデザインも意識すると良いでしょう。