グランドピアノの特徴
18世紀のはじめに開発されたグランドピアノ。現在に至るまで、基本的な形は変わっていません。響板から響く「直接音」と、屋根から跳ね返る「反射音」の両方を聞けるので、音色が他のピアノと違いクリアで鮮やか。細やかな音を自分の耳で確かめながら弾けるので、演奏感覚を磨く上では欠かせないアイテムです。そのほかにも、グランドピアノには多くの特徴があります。
- 音がなめらかでよく伸びる
- 音にむらがないためバランスが良い
- 弱いピアニシモから強いフォルティシモまで豊かに響く
- 装飾音のトリルなど、細かい連打ができる
- 音程感が良く、一つひとつの和音がにごらず聞こえる
- 音に微妙な表情がつけられる
アップライトとの違い
ピアノには、大きく分けてグランドピアノとアップライトピアノの2つの種類があります。コンサートや学校などでよく使用されるグランドピアノに対し、比較的狭い部屋でもピアノの演奏が楽しめるようにと開発されたのが、アップライトピアノです。価格もグランドピアノに比べ安いことから、一般家庭でも気軽に導入しやすいのが特徴。
また、「音の響き」に関しても大きな違いがあります。ピアノは鍵盤を押すとハンマーが連動し弦を叩くことで音が出る仕組み。グランドピアノはこのハンマーと弦が水平に配置されているのに対し、アップライトピアノは垂直に配置しています。そのため、アップライトピアノは響板の前後が壁やケースで塞がれるため、グランドピアノと比べると音はこもりがちになってしまうのです。
グランドピアノを設置するポイント
グランドピアノを設置する際は、鍵盤から手前方向のスペースを1m以上空けるのが理想的です。それには主に2つの理由があり、1つ目は十分なスペースを取ることによって演奏者が無理のない体勢でピアノを弾けること。2つ目はピアノの調律師がアクション(鍵盤を押すとハンマーが弦を打つ仕組み)の調整作業をするとき必要なスペースが1m程度だからです。
さらに空間に余裕があれば、左右や奥側は人が通るスペースを確保するのがおすすめ。グランドピアノは壁に近くなることで雑音が発生したり、音響に影響を及ぼしたりすることがあるので、設置する際は最低でも15cm以上は壁から離すようにしましょう。
そのほか、床暖房の上に設置する際も注意が必要です。ピアノの脚を伝って、ピアノ自体が暖まり、響板に不具合を起こすことも。床暖房の上にグランドピアノを置く場合は、断熱パネルを敷いてから設置しましょう。
グランドピアノの防音対策
グランドピアノを自宅で演奏する場合は、防音対策もしっかり行うようにしましょう。特に高級住宅街や住宅密集地に家を建てる際は、入念な防音対策が必要です。
防音壁
気兼ねなくグランドピアノの演奏をしたいという人におすすめなのが、防音壁の設置です。音を吸収する吸音と、音を遮る遮音を組み合わせることによって、防音効果を高めることができます。そうすれば、周りを気にせずに思う存分ピアノが弾けます。
窓を二重設計
窓は開閉する機会が多いため、隙間から音が漏れやすくなっています。気密性が低い窓だと、閉めている状態でも隙間が生じ、常に音が漏れている状態に。窓から音漏れを防ぐためには、窓を二重設計にするのがおすすめです。これだけで30~40デシベルの防音が可能なので、一般的なピアノ音と言われている90デシベルを大きく抑えることができます。
換気扇
見落としがちですが、換気扇は外部との通路になっています。換気扇から伝わる音はよく響き、室内にダイレクトに届いてしまうのです。そのため室内から音を外部に漏らさないという視点ではなく、外部の音を室内に入れない対策が必要。換気扇の通気口部分に「防音チャンパー」と呼ばれる音の入射角を狭めるグッズを設置するだけでも、音を入りにくくします。
グランドピアノが持つ魅力とは
グランドピアノの魅力は、なんといってもその美しい音色と芸術的なフォルム。しかし、自宅に置く場合はそれだけでなく、そこから生まれる優雅な雰囲気・空間を楽しめるのも魅力の一つと言えるでしょう。「自宅にグランドピアノがある」という夢を幼い頃から抱いている方も少なくないはず。せっかく自慢の豪邸を建てるなら、そういった夢にもとことんこだわりたいところ。グランドピアノのある家で、美しい音色とともに優雅な生活を叶えてみてはいかがでしょうか。