離れの魅力とは
離れとは敷地内の主たる建物(母屋)に従たるものとして、母屋から離れた場所にある建物のことです。海外では「デパンダンス」と呼ばれています。
そんな離れは、趣味を楽しむための空間として利用するのはもちろん、忙しいビジネスマンの場合は、書斎や作業場として利用するケースも。母屋から一歩離れた場所に別の空間を設けることによって、よりプライベートや仕事にあてる時間を有意義に活用することが可能。それこそが、離れの大きな魅力といえます。
離れの活用方法
では、実際に離れにはどのような活用法があるのでしょうか。具体例をみていきましょう。
仕事場
現代はワークスタイルが多様化し、職場と住居がひとつになった「職住一体」という考えが広がってきています。特にフリーランスのライターやデザイナーといった、クリエイティブな職種の人に多いようです。
しかし、住居を職場として使用する多くの人が、仕事とプライベートの切り替えが難しいという問題を抱えています。その問題を解決してくれるのが、離れです。離れに行くためにはいったん母屋の外にでるため、仕事とプライベートのON/OFFを切り替えやすくなります。離れは完全なプライベートルームとなるため、周囲に気を取られることもありません。一人で集中して作業を行いたいときに、そういった空間が一つあると、仕事もより捗りやすくなるでしょう。
ゲストハウス
幅広い人脈を持つ富裕層の中には、頻繁にお客さんを招いてパーティーを開催する人も多いでしょう。また、招いたお客さんの中には遠方から訪れる人も。そんなときに活躍するのがゲストハウスです。離れを活用し、母屋から距離を置いた場所にゲストハウス設けることで、お客さんも変に気を遣うことなくリラックスした状態で時間を過ごせます。ワンランク上のおもてなしを提供できるので、周囲からも「憧れ」や「理想」のお家として高い評価を得られるでしょう。
二世帯住宅
以前までの二世帯住宅は、同じ建物内で同居するスタイルでした。しかし最近は同一の敷地内に子世代の住まいを建てる「二世帯スタイル」が浸透しつつあります。同じ建物で暮らす従来の二世帯住宅とは異なり、お互いのプライバシーを保ちつつ、良い距離感でお互いを思いやる暮らしができるのが魅力です。
共働きをする子世代にとっては両親に子育ての支援をしてもらえるほか、お互いの安否がわかる距離に住めるのは大きなメリットと言えます。付かず離れずの環境なので、良い関係性を保てるでしょう。
離れの活用方法は人によってさまざまです。使い方次第で、仕事場に早変わりしたり、趣味を楽しむ場になったりといろんな用途に応用できます。
知っておきたい!離れを建てる上でのルール
離れは母屋同様に、建築法規による規制がかかります。地域や自治体によって基準や内容は異なるので、注意して建てるようにしましょう。
一敷地一建物
建物をたてる際は、ひとつの土地に二棟の住宅を建てることはできないというルールがあります。そのため、離れを建てるときは母屋から独立して成り立たない「用途上不可分」の状態にある場合に限り、建築することが認められているのです。
壁面線・後退距離
主に住宅地である、
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
に指定されているエリアでは、道路や隣地との境界線から一定の距離、外壁を敷地中心部へと後退させなければならないケースがあります。距離は1~1.5m以上と定められていますが、地域や自治体によって規定は異なるので、すべてが一律ではありません。そのため、離れを建てる際は事前に施工会社に相談し、規定の範囲内で設計することが大切です。
建ぺい率・容積率
建築面積と延床面積については、母屋と離れを合計したものが敷地面積に対する規定の割合の範囲内であることが条件となります。建ぺい率・容積率を考える際は、母屋と離れは別々ではなく、敷地内にあるひとつの建物として計算されることを覚えておきましょう。
斜線制限・北側斜線
母屋と同じように、敷地にかかる道路斜線制限や北側斜線制限、隣地斜線制限に抵触しない高さにする必要があります。
離れを建てる際の注意点
離れは母屋と違い生活のメインスペースではありませんが、安全や機能に関わる点は十分に注意しましょう。
なかでも大切なのが、耐震性と耐火性。大きな地震が起きたとしても耐えられる力と、燃え広がりを防ぐ性能は住宅を建てる上でとても重要な要素です。安全面も配慮した上で、離れのある豊かな生活を送ってみてはいかがでしょうか。