大理石の特徴
古代ギリシアのパルテノン神殿に知られるように、大昔から建材として利用されている大理石。フランス・イタリア・スウェーデン・トルコ・ポルトガル・カナダ・インドといった国々が、採掘場として有名です。日本でも採掘は行なわれていますが、建材として使用されるのは山口県美祢(みね)市で採れるものくらい。ほとんどは工業原料となります。
そんな大理石は模様と光沢が高級感を演出することから、高級な建材として人気に。富裕層の中には、美しさに魅了されて家の床や壁面を大理石にしている人が多くいます。
大理石のメリット・デメリット
自宅に大理石を使用するメリットとデメリットについてまとめてみました。
メリット
ホコリやゴミが目立ちにくい
大理石には光沢や模様があるため、ホコリやゴミが目立ちにくいのが魅力です。清潔感を与えてくれるので、神経質にならず快適に過ごすことができるでしょう。
耐震性に優れている
他の建材と比べて強度があるため、強い耐震性があります。近年は地震が頻繁に起きているので、建材として大理石を使用すると安心です。また、高い品質を保つことができるため、年数が経っても変わらない美しい住まいを実現できます。
オリジナル性がある
大理石は天然石なので、同じ色合いや模様のものは存在しません。家の中に大理石を使用することで、他とは違うオリジナル性の高い住まいが手に入ります。
部屋が明るくなる
大理石は光を反射させるため、周りを明るくしてくれます。光があたる角度でさまざまな表情を見せるため、家具の配置を工夫することで違った雰囲気を楽しむことができるでしょう。
デメリット
酸性の洗剤を使用できない
大理石は酸性に弱いという特徴があるため、酸性の洗剤を使用した場合、表面が溶けてしまう恐れがあります。そのためキッチンや洗面所など、水場で使用する際は注意が必要です。
素材が硬い
大理石の素材は木材やコンクリートよりも強度が高く固いため、子どもがつい転んだりするとケガを招くおそれがあります。また、食器を落とすとすぐに割れてしまう…なんてことも。必要に応じてカーペットや絨毯を敷くなど、ちょっとした工夫を凝らすことで、これらの危険は事前に防ぐことができます。大理石を取り入れる際は、こういった安全面も考慮しておくとよいでしょう。
冬は冷たい
ひんやりとした素材が特徴的な大理石。夏は涼しく過ごせるので良いのですが、冬は寒くなってしまうデメリットがあります。寒い冬を冷たい床で過ごすのは困難です。そのため大理石を床に使用する場合は、床暖房が必須になると言っても過言ではないでしょう。
大理石の活用法
奥深い色合いと独特な模様が特徴的な大理石は、加工の方法や切り出す箇所によってさまざまな表情を見せるため、ひとつとして同じものはありません。これは天然石ならではの醍醐味だと言えるでしょう。
そんな大理石は床やキッチン、バスルームなどで利用することが可能です。またオブジェとしても活用でき、玄関やリビングに飾れば自宅をよりゴージャスに彩ることも。部屋に大理石を取り入れるだけで、高級感も増します。一般家庭ではなかなか見られない特別感も大理石の魅力の一つです。
大理石の種類
多彩な色調と独特の模様が特徴の大理石には、さまざまな種類があるのをご存知でしょうか。事前にどのような種類があるのかを知ることで、設計時のイメージも膨らみやすくなるでしょう。
アラベスカートコルキア
白い地に、灰色が大きく混ざり合っているのが特徴の大理石です。幅の広い縞模様(しまもよう)から細いスジ模様まで、いろいろな表情を見せてくれます。
スイスホワイト
結晶の白さが際立ち、清潔感があり均一な印象を与えるスイスホワイト。細かい結晶がキラキラと輝くその美しさは、自慢の部屋をより一層華やかにしてくれるでしょう。
クレママルフィル
スペインで最大の産出量を誇る山から採掘されているクレママルフィル。色がベージュとなっているのが特徴で、人気のある大理石です。優しい風合いとなっているため、使う場所を選びません。
ロッソマニャボスキ
赤みを帯びた茶色の大理石です。ぼやかしたような、大小の滲んだ模様が特徴。古風な雰囲気のため、部屋をレトロな印象にしたい場合にピッタリです。
ティーローズ
フィリピンで採掘されているティーローズ。赤茶色のベース地の表面に、白系の帯柄が不規則に散らばっています。色調が揃った傷の少ない大理石として知られており、落ち着いた印象を与えてくれるのが特徴です。教会やデパートなどでよく利用されています。
エンペラドールダーク
濃い茶色から黒に近いエンペラドールダーク。暗色の中に白い線のようなスジ模様が入っています。高級感に秀でているのが魅力です。大理石のなかでも数が少なく、希少性が高いため重宝されています。
グリージョカルニコ
黒グレーの地色に、白い模様が入っているイタリア産の大理石です。別名「グリジオカルニコ」とも呼ばれています。シックな色合いのため、とくに部屋を落ち着いた雰囲気にしたい男性におすすめ。
グリーンマーブル
緑と白の模様がランダムに入っているのが特徴的なグリーンマーブル。色の濃淡が激しく、個性的なため、独創的な絵画などと組み合わせるとより映えるでしょう。
モカクリーム
ポルトガル中部で採掘されているモカクリームは、「レルヴィーニャライムストーン」「モリアノスベージュ」とも呼ばれています。とても人気のある大理石で、表面にやわらかなブラウン調の縞柄(しまがら)となっているのが魅力です。なめらかな肌地とベージュの色合いは、格調高い空間を演出してくれます。
モカクリームダーク
やや濃いベージュの肌地にブラウン調の点柄が平行、またはやや斜めに入っているモカクリームダーク。モカクリームと比べてややくすんだ粗い目が特徴です。
ブランコドマール
乳白色の肌地の表面に無数の点柄と化石が混在し、採掘層によって化石の量に違いがみられる大理石です。ルーブル美術館やヨーロッパの教会で使用されており、ほがらかな色調と自然な風合いが親しまれています。
ジュライエロー
暖色系のベージュの肌地に濃淡の激しい黄茶柄が入っているジェライエロー。ドイツの南部で産出されています。特徴はジュラ紀のアンモナイトや、二枚貝といった生物の化石を認めることが可能です。古代の地層から採掘される、ロマンのある大理石と言えるでしょう。
このように、大理石にはさまざまな種類があるので、自分のイメージする家に合ったものを見つけるようにしましょう。
人工大理石とは
人工大理石は、アクリルやポリエステルといった樹脂素材を固めてつくった物です。大理石は含まれていません。樹脂素材の柔らかさや着色のしやすさなどの性質を活かし、幅ひろい用途の製品に使用されています。また、人工大理石は水・酸に強いため、キッチンやバスルームなどとの相性がとても良いです。
外観については、大理石を使っていないため、やや安っぽく見えてしまう場合もあります。ただ、その分低価格になっているので、そのメリットや用途、使用目的などを考慮して適宜選択するのがよいでしょう。
アクリル系人工大理石のメリット・デメリット
人工大理石のうち、アクリル系の人工大理石は、汚れにくく、かつ衝撃に強いというメリットがあります。ですので、表面を美しく仕上げやすいですし、また、何かがぶつかっても、それほど大きなダメージを受けにくいです。この性質を活かし、キッチンカウンターなどの材料として、アクリル系人工大理石がよく使用されているのです。
このように、アクリル系人工大理石は多くのメリットを持っているため、ポリエステル系よりも価格が高い傾向にあるので、その点については留意しておく必要があります。
ポリエステル系人工大理石のメリット・デメリット
上述のアクリル系と比較して、ポリエステル系は価格が安いというメリットがあります。ただし、おさえておくべきデメリットもあります。その主なものとしてあげられるのが、紫外線に弱いので黄ばみ・黒ずみが目立ちやすいこと、そして衝撃に弱いことです。
また、ポリエステル系の人工大理石には「ゲルコートタイプ」「ソリッドタイプ」の2種類があります。どちらもそれほど衝撃に強いというわけではありませんが、前者は、比較的、剥がれ・ひび割れが発生しにくく、また、後者には耐久性が高いという性質があります。
人工大理石を使うのに適している場所
やわらかくて加工しやすい人工大理石は、デザインの種類が豊富です。石目調やマットな質感を楽しめるものなど、デザイン性の高い製品が多くみられます。リビングのインテリアにこだわりたい方にもおすすめです。また、おしゃれなアイランドキッチンなどに憧れている方にとっても、人工大理石の採用を検討してみる価値は充分にあるでしょう。
人工大理石を長持ちさせる方法
できるだけ良いコンディションを保って長く使用し続けられるようにするために意識したいのが、こまめな掃除、そして熱に注意することです。
- こまめに掃除をするようにしましょう。人工大理石は汚れやすい性質があるので、拭き掃除を欠かさないようにすることが大切です。必要に応じてクリームクレンザーをスポンジにつけ、擦って汚れを落とします。ただし、表面がコーティング加工されている場合は、中性洗剤を使ってください。
- 鍋など熱い物を置くときには、鍋敷きを使うようにしましょう。また、洗うときにも、粗熱が冷めてから流しに置くようにするなど、熱に対して充分な注意を払うことが大切です。
人造大理石とは
大理石を砕いた物に他の石材のチップを混ぜ、それをセメントやレジンなどで固めて作るのが、人造大理石です。人工大理石とは異なり、実際に大理石が含まれているのが人造大理石の大きな特徴です。そのため、価格が人工大理石の倍以上になることもあります。
人造大理石を使うのに適している場所
大理石と人工大理石のそれぞれ良い部分をあわせもつ人造大理石。見た目の華やかさ、そして扱いやすさが魅力となっています。そのため、キッチンまわりやバスルームをオシャレに仕上げるのにおすすめです。また、汚してしまった場合も、放置せずにすぐに拭きとるようにすれば、キレイな状態を保つことができます。
また、セメントで固められているタイプの物であれば、充分な硬さがあり傷がつきにくいです。ですので、外構などにもよく利用されています。
人造大理石のメリット
最初にあげるべきメリットは、やはり価格の安さだといえます。コストをおさえて、天然の大理石がもつ高級感を演出できるところは、大きな魅力だといえるでしょう。特に、レジンで固められているタイプの人造大理石は天然の大理石を大きめに砕いているので、セメントで固められている物より華やかさの面で長けています。
人造大理石のデメリット
汚れが付いてしまった場合でも、すぐに掃除すれば問題ありませんが、長時間放っておくなどすると、汚れを完全に落としきることが難しくなってしまいます。また、熱にもあまり強くないので、キッチンなどに人造大理石を採用する場合には、熱い鍋を直接置くなどしないよう注意する必要があります。