シューズインクローゼットとは
シューズボックスとの違い
シューズインクローゼットとは、シューズクロークや土間収納とも呼ばれる玄関周辺にある収納スペースです。靴を履いたまま入れる仕様も多く、人がそのまま中に入れる程度のスペースがあります。靴の数が多い場合だけでなく、釣りやキャンプなどアウトドアの道具や外に持って行く荷物が多い場合にも収納できるため重宝します。
一方で、シューズボックスとは所謂「下駄箱」のことであり、玄関土間続きのスペースに収納棚を設け、履物をまとめて収納する家具を差します。
収納するものは基本的に靴で、「棚」の状態であるところがシューズインクローゼットとの大きな違いです。
シューズインクローゼットの種類
ウォークインタイプ
玄関の一部にそのまま入れるように1カ所だけ出入口を設置した収納スペースです。歩いて入れるので「ウォークイン」と呼んでいます。
靴のまま入れるので、靴だけでなくアウトドアで使う道具の収納に向いており、冬場は外出する時だけに着るコートなどをかけておくのにも便利です。
ウォークスルータイプ
ウォークインタイプと同様に、玄関横に設置しますが、玄関側と部屋側に抜けられるよう2カ所の出入口を設けたタイプのシューズインクローゼットです。歩いて通り抜けられることから「ウォークスルー」と呼びます。
ウォークインタイプは、クローゼットから一旦玄関に戻って靴を脱ぐ必要がありますが、ウォークスルータイプなら玄関からクローゼットに入り、コートや靴を脱いだらそのまま部屋に上がることができます。
クローズタイプ
シューズインクローゼットの出入口に扉を付けたタイプです。ウォークインでもウォークスルーでも、扉を付けないと中が見えてしまいますが、来客時など収納しているものを見せたくない場合には扉があるといいでしょう。
ただし、使うたびに扉を開閉する手間はかかるので、よく検討したい部分です。
オープンタイプ
ウォークイン・ウォークスルータイプどちらとも、扉を付けずにオープンにしているタイプです。扉で仕切らないことで、収納物の出し入れが楽になり、扉分のスペースやコストも不要です。また、仕切りがない分圧迫感も軽減されます。
しかし、収納しているものが丸見えになるため、きれいに見せるために整理する必要があります。どうしても隠したい場合には、オープンタイプの上部にロールスクリーンを付けて、来客時のみ目隠しをする工夫もできます。
シューズインクローゼットのメリット
シューズインクローゼットがあると靴や雨具、冬のコートやレインコートなど、外で使うものをまとめて置けて、家の中に持ち込みたくないものを収納できます。
また子どもが小さい場合には、ベビーカーや三輪車、砂場遊びの道具などもそのまま置けます。ペットの散歩の持ち物も、シューズインクローゼットに置いておけばとても便利です。
さらには、アウトドアやスポーツの道具置き場として、防災グッズや資源ゴミの一時的な置き場としてなど、さまざまな使い道があります。
シューズインクローゼットのデメリット
シューズインクローゼットを設置するには、ある程度のスペースが必要になります。設置するために、玄関や居室のスペースが狭くなるケースもあるので、どうしても必要かどうかは検討した方がよいでしょう。
当然ながら、履物専用の棚を設置するよりコストもかかります。
また同じ外で使うものであっても、園芸用肥料やペットのトイレなど臭いがするものの置き場所には適しません。
シューズインクローゼットをつくるポイント
必要性
シューズインクローゼットをつくろうと思ったら、まず考えたいのは「必要性」です。デメリットでも紹介したように、玄関周りにある程度のスペースが必要なので、限りある延床面積を使ってつくることになります。コストもかかるため、そこまでしてシューズインクローゼットをつくらなければならない必要性が大切です。
何をどれだけ収納したいのか、どのように使いたいのかを明確にして、本当に必要かどうかを検討しましょう。
スペース
一般的にシューズインクローゼットをつくるのに必要な広さは、玄関+1.5〜2畳分と言われています。収納だけでなく、ちょっとした作業スペースも欲しいのであれば、+3畳分は欲しいところ。
スペースによって、扉の有無も検討し、目隠しの必要性と圧迫感もシミュレーションしてみましょう。来客はほとんどないけれど、一時的な目隠しが必要であれば、カーテンやロールスクリーンで対応することもできます。
内装
シューズインクローゼットは、基本的に靴を収納する場所なので、臭いや湿気がこもりやすくなります。特に扉を付けた場合には換気が必要なので、引き戸にしていつもは開けっぱなしにしておく、小さな窓を付けるなどの対策が必要です。ドア自体に通気口があるタイプもおすすめ。
また、吸湿性や消臭効果の高い機能性タイルをインテリアに使うのも効果的です。
クローゼット内の棚は、可動式にするとさまざまなタイプの靴に調整できて便利です。家族の人数や持ち物が変わっても、対応しやすくなります。
雨具やレインコート、冬用のコートなどがかけられるようハンガーパイプやフックを備えたり、個人のロッカーをつくったりするのも便利です。鏡を置いておくと、身支度の仕上げにもなります。
設備
シューズインクローゼットに窓を設けない場合、昼間でも暗いことが考えられます。夜に出入りすることもあるので、照明は必要です。外から帰宅して両手がふさがっていることもあるので、センサー式の自動点灯する照明も検討してみましょう。
また、コンセントがあれば掃除機や工具などの充電もできます。
シューズインクローゼットの注意点
間取り全体のバランスを考える
シューズインクローゼットは通常の玄関より広いスペースが必要になります。シューズインクローゼットをつくることにこだわり過ぎたあまり、玄関やリビングが狭くなってしまうこともあるので、注意しましょう。特に、玄関が狭いと出入りや荷物の出し入れが大変になってしまうことも。
隣接する空間や全体の間取りのバランスを考えて設計しましょう。
換気を考える
シューズインクローゼットで問題になるのは、臭いと湿気です。梅雨の時期には靴にカビが生えることも考えられるため、換気ができるよう考慮しましょう。空気の出入りを考えて、扉や窓の有無、除湿機の導入などプロと相談してください。
将来的な使い方も考える
長く住む家だからこそ、家族は年齢を重ね、構成やライフスタイルが変わっていきます。子どもが小さい時にはシューズインクローゼットを重宝していても、成長してしまうと使い道がなくなるなど、ライフステージが変化すると使い方が変わっていきます。
今だけでなく、将来的な使用方法についても考えながらシューズインクローゼットの設計を考えていきましょう。