豪邸に込められた思いを
今回の施工事例集は、日本の豪邸の写真を集めただけではありません。国産木材を活用した産地直送の住宅システムを提供するハウジングオペレーションアーキテクツと、一級建築士事務所アトリエアムに取材を申し込み、豪邸の誕生の背景、各種建築の特色や魅力、さらには施主の要望、建築家の思いなどを聞き取り調査しました。
「豪邸」というざっくりとした表現でとらえられている建築物の内外に、いかに施主と建築家の思いとこだわりが込められているのか、写真とともに紹介したいと思います。
豪邸とはオーナーの
思いを具現化したもの
豪邸は施主の思いを受けて、建築家が図面に起こし、熟練の大工によって形が与えられます。しかし、すべての始まりであり終わりでもある、アルファでありオメガでもある施主の思いは、最初から明確になっているとは限りません。
「大自然の中に純和風の設えの空間を作りたい」
「これから先の人生のすべてを包みこみ、家族の健康を守り、安心して子どもを育てられ、心からくつろげる家であること」
といった、漠然としたイメージで施主の希望が語られる場合もあれば、
「モチーフは京都の町屋が持つ伝統的な日本家屋の美しさ。そこにモダンな外観と町屋の内観によるデザインのギャップを加え、意外性を出したい」
「エントランスからアプローチ、玄関、リビングからキッチン、ウッドデッキや2階へと、流れがスムーズに進み、その中心に包まれながら、安心してくつろぐ。それが家づくりのコンセプトです」
といった具合に、ディテールまで明確に語られるケースもあります。
施主の千差万別なイメージや言葉になりきらない思いを、建築家は質疑応答の中で探り出し整理して、設計技術と経験を総動員して図面に起こし、大工に託します。 施主がどのような思いを抱え、その思いを建築家がどのように形にしたのか、各豪邸の背景に潜む誕生秘話についても今回は触れてみました。