奈良には富裕層が多い?
貯蓄額(資産保有)が全国でも上位
総務省統計局が2020年に行なった家計調査によると、奈良市の二人以上の世帯・勤労者世帯を対象とした1世帯あたりの貯蓄額は2,047万円。全国平均の貯蓄額1,791万円を上回っており、地方都市でありながら東京や横浜といった富裕層が集中する大都市に並ぶ結果に。2017年・2018年においては全国の県庁所在地で1位を獲得しており、そのほかの年でも基本的には上位に入っていることから貯蓄額の多い都市とされています。
貯蓄額が多い背景としては、奈良県民の堅実さを好む保守性が影響しているといった指摘もあり。奈良には大阪のベッドタウンとして発展してきた歴史があり、景気の良かった時代を知る団塊世代の積み上げてきた資産が貯蓄額として反映しているとも考えられます。セレブや大富豪と評されるような派手な富裕層が多いというよりも、堅実な貯蓄文化が「貯蓄額」としてあらわれた結果と言えるでしょう。
昭和期に開発された郊外高級住宅地の存在
貯蓄額で見れば日本でもトップクラスの富裕度の高い奈良市ですが、富裕層が多いエリアとしての印象を持たれにくい傾向にあります。なぜなら奈良には一見して富裕層が住んでいると分かるような超高級タワーマンションや、住民以外の立ち入りを制限するゲーテッドコミュニティが一切なく、富裕度が見えにくいためです。
富裕層が住むエリアとしては、学園前や菖蒲池などの郊外に広がる高級住宅地があります。兵庫の芦屋や苦楽園には及ばないものの、億単位の値段が付くような住宅もあり、奈良市の富裕度が見えやすいエリアと言えるでしょう。郊外に広がる高級住宅地は主に昭和期に開発されたものとなり、バブル期に大阪で富を築いた人や大企業の幹部クラスの豪邸が並んでいます。