天井の種類
平天井
天井の種類の中でも最もスタンダードなのが平天井です。平天井は床に対して水平なのが特徴で、どのようなデザインの部屋にもマッチする汎用性の高さから、多くの住まいで用いられています。天井に特にこだわりがない場合は、平天井が採用されるでしょう。
平天井はシンプルな構造の分、個性を出すのが難しく、材質や色選びには注意が必要です。色や柄によっては閉塞感や圧迫感のある部屋になりかねないため、特に天井が低い場合は明るい色や柄、もしくは別の形状の天井を検討したほうが良いでしょう。基本的には部屋の雰囲気を邪魔しないように、白や薄い色を採用するケースが多いようです。
勾配天井
屋根の形状を利用して傾斜をつけたデザインの天井で、上階に部屋のない1階部分、または2階部分の天井に採用されるのが一般的です。傾斜をつけることで部屋の空間を広げることができ、吹き抜けのような開放感のある空間を演出したい場合に適しています。
開放感を演出できる一方で、天井が高いことで照明器具の交換や掃除・メンテナンスが大変というデメリットもあり。また、屋根に近い勾配天井は外気の影響を受けやすいため、屋根に断熱構造を取り入れて快適な空間をつくる必要があります。
折り上げ天井
折り上げ天井とは段差のついた天井のことで、中央部分が周囲に比べて一段高い位置にあるのが特徴です。天井に凸凹をつけることで空間に奥行きが生まれるほか、段差の大きさや形状が作り出す陰影を楽しめるデザイン性の高さも魅力。照明の設置やインテリアの組み合わせなどで部屋の印象がかなり変わり、高級感のある空間を演出しやすい天井です。
ただし、勾配天井と同様に天井高があるので照明器具の取付や交換、掃除などが大変な点は注意が必要。また、折り上げ部分に溝をつくる場合は、ほこりの掃除の手間も考慮しなければいけません。
天井の高さを十分に確保できない場合、折り上げ天井にすることでかえって天井が低くなって圧迫感が生まれたり、別の階の天井を低くしなければいけなくなったりすることがあります。日頃の手入れやほかの部屋への影響を考慮したうえで、折り上げ天井を採用するかどうか検討しましょう。
天井にこだわるべき理由
天井にこだわる理由は、天井の種類によって部屋の印象が大きく変わるためです。
注文住宅で家を建てる際、キッチンやリビング、床材、壁紙など、多くの時間を過ごす場所や目に入りやすい部分に重点を置いて考える人も多いでしょう。一方で天井はというと、見上げないかぎり視界に入らないという理由からこだわらないという意見も一定数存在します。
けれど、天井は部屋に入るときやソファーに座ったとき、キッチンからリビングを見渡すときなど、無意識に目に入っている部分です。天井の種類や素材の選び方によって部屋の印象がガラリと変わるため、自分好みの空間にしたくて注文住宅を選んだ人こそ、天井はこだわりたい部分と言えるでしょう。
また、天井のような見落とされやすい部分にまでこだわることで、ほかの住まいと差をつけることができます。
天井デザインで失敗しない為のポイント
使用する素材にも注目する
天井のデザインを考える際は、天井の種類や色だけでなく、素材にもしっかりと目を向けましょう。
たとえば部屋に温かみを持たせたい場合は、天然素材を採用するのがおすすめです。クロス仕上げとはまた違った素材の風合いを楽しめ、居心地の良い空間を演出できます。また、本来隠れているはずの梁をデザインとして一部露出させられるのも、注文住宅ならではの楽しみ方です。
そのほかにも壁と天井に同じ素材を使うのか、または別の素材を使うのかでも部屋の印象が大きく変わります。空間に統一感を持たせたい場合は同じ素材、個性的な仕上がりにしたいなら天井に別の素材を使用して空間にメリハリを持たせると良いでしょう。使用する素材にこだわることで、空間に華やかさや高級感をプラスできます。
照明・壁・床と一緒にトータルで考える
天井は床から壁、壁から天井とつながっているからこそ、調和のとれた空間に仕上げたいならトータルで考えることが大切です。天井だけ別の素材を使用するにしても、壁や床とのバランスを考えながら検討する必要があります。
また、照明についても、種類や取り付け方の選択次第で空間の見せ方が変わってくるため、天井のデザインに合った種類や設置方法を考えていきましょう。たとえば吹き抜け天井にする場合、壁や床など下方向に向ける光のほかに、上方にも光が広がる照明の種類や設置法を考える必要があります。
トータルコーディネートにはデザインの知識やノウハウを必要とするため、デザインの提案を得意とする建築会社に相談するのが確実です。専門家の意見を参考にしながら、理想の空間づくりを目指しましょう。
機能性にもこだわる
家はデザインを発表する場ではなく、実際にそこで暮らすことになるからこそ機能性も兼ね備えている必要があります。どれだけ優れたデザインの天井だとしても、本来の役割である温度や湿度の調整などの機能が損なわれていると、住み心地の悪い家に仕上がりかねません。
たとえば高さのある吹き抜けの天井は開放感を演出してくれる一方で、空気が上部にたまりやすいのが特徴です。空気を循環させるシーリングファンを設置するなどの対策を講じないと、冷暖房の効果が悪くなり、夏は暑く、冬は寒い、といった快適とはほど遠い空間になってしまいます。
天井の種類ごとのデメリットもしっかりと把握したうえで、天井の機能性も確保するデザインを考えていきましょう。