コーブ照明とコーニス照明の違い
間接照明を検討する際に候補となるのが、「コーブ照明」と「コーニス照明」です。同じ間接照明でも照らす場所によって家の雰囲気が大きく変わってくるため、それぞれの特徴や違いについて押さえておきましょう。
天井を照らす「コーブ照明」
アーチ型の折り上げ天井をコーブといい、折り上げ天井の内部に設置する間接照明をコーブ照明と呼びます。ただ、最近はフラットな天井に設置されることも増えているため、天井の間接照明の総称として使われることもあります。天井に光を照らして照明の代わりにするコーブ照明は光源が視界に入りにくいので、空間全体がやわらかな明るさの光で包まれ、落ち着いた雰囲気を演出したい寝室や書斎などにおすすめです。
また、高級感のある雰囲気にも仕上がることから、ホテルのロビーや寝室などにも採用されています。
壁面を照らす「コーニス照明」
コーブ照明が天井を照らすのに対し、コーニス照明は壁面やカーテンを照らす間接照明です。壁面やカーテンを明るく照らすことによって光が拡散され、空間に広がりや奥行きを演出できるのが魅力。また、壁の素材やカーテンの色彩・光沢を際立たせることもでき、照明としてだけでなく、インテリアのデザイン効果を高める目的でも使用されています。
コーニス照明は壁面に沿って平行かつ下向きに光源を取り付けるため、光源の下を行き来する間取りや家具のレイアウトによっては、まぶしさを感じてしまうことも。コーニス照明を設置する際は、照明の配置と取り付け方に注意する必要があります。
コーブ照明とコーニス照明を組み合わせた「バランス照明」
バランス照明は、壁と天井の両方を照らす間接照明です。光を反射する面が広いので、コーブ照明やコーニス照明よりも明るく感じるのが特徴。壁に目隠しとなる幕板を設置し、その裏側に照明器具をセットするのがバランス照明の取り付け方です。
幕板が光で浮き上がっているように見えて目立つため、バランス照明の配置を視線の高さにすれば、来客の視線を効率よく誘導することが可能。壁と天井の両方を明るく照らすことで、高さや奥行きがより立体的に感じられるため、空間を広く見せたい場所に適しています。
コーブ照明のメリット・魅力
やわらかい落ち着いた雰囲気を演出できる
コーブ照明の魅力は光のやわらかさで、おしゃれで落ち着いた雰囲気を演出したい場所の照明に適しています。ホテルのロビーや寝室などにも使われているため、高級感のあるホテルライクなリビングやロマンチックな雰囲気を演出したい寝室などにもおすすめです。
空間に広さと奥行きが生まれる
コーブ照明は折り上げ天井の内部に照明を設置するので、ペンダントライトに比べて照明との距離が遠くなり、天井が高く見える効果があります。また、天井全体が照明となって光を放っているため、天井に奥行きが生まれて、広い空間を演出できるのもコーブ照明ならではのメリットです。
リラックス効果でゆったりと過ごせる
コーブ照明のやわらかで優しい光が副交感神経に働きかけることで、リラックス効果を期待できます。間接照明を使用しているレストランでゆったりと食事を楽しめるのも、リラックス効果によるものです。書斎やリビングなどに取り入れることで落ち着いて過ごせる空間を演出でき、寝室に設置すれば安眠効果も期待できるでしょう。
コーブ照明の注意点・後悔しないためのポイント
メンテナンスや掃除がしづらい
コーブ照明は天井の内部に設置するため、天井が高いとメンテナンスや掃除がしづらく、電球交換が必要になった場合に困ってしまう可能性があります。掃除やメンテナンスに手間がかかるからと使用せずに放置し、せっかくのコーブ照明を無駄にしてしまうことも。また、コーブ照明のスイッチを手が届きにくい場所に設置すると、使わなくなってしまうので注意しましょう。
家具や窓の配置に注意する
コーブ照明を設置する際は、光の障害物にならないようにエアコンや家具の配置に注意が必要です。エアコンや家具にコーブ照明の光があたってしまうと、余計な影が生まれて、おしゃれな雰囲気が台無しになってしまう可能性があります。壁と一体化した家具やエアコンは簡単には移動できないので、間取りや家具の配置については慎重に検討しましょう。
また、コーブ照明と窓の位置も重要です。コーブ照明と窓が近いと外から入った光によって、照明効果が弱くなってしまうことも。窓のある部屋にコーブ照明を設置する場合は、窓から入り込む光がコーブ照明の邪魔にならないかを検討する必要があります。
演出したい雰囲気に合わせて色を選ぶ
間接照明ならではの落ち着いた雰囲気を堪能したいのであれば、電球の色は暖色がおすすめ。温かみのあるオレンジ系の電球なら、居心地の良いリラックスした空間を演出できます。自然光に近い昼白色や青白い光の昼光色は明るさを確保してはっきりと照らしたいときに適していますが、間接照明の魅力である落ち着いた雰囲気が崩れる可能性があるので注意が必要です。
設置費用が高額になることもある
折り上げ天井の内部にコーブ照明を設置する場合、設備費用と電気・配線工事の費用が発生します。天井の工事が必要な場合だと工事範囲が広くなるため、コーブ照明のみを取り付ける工事に比べて費用が高額です。部屋の規模によっては数百万円かかることもあるので、照明にどこまで予算をかけるのかを検討したうえで見積もりを出してもらい、設置するかを判断しましょう。
部屋全体をコーブ照明にしない
おしゃれな空間を演出したいからと、すべての部屋をコーブ照明にするのはおすすめしません。コーブ照明はあくまでも間接照明のため、生活空間で使用すると明るさが足りず、不便さを感じてしまうことがあります。特に刃物を扱って細かい作業を行うキッチンのような空間では、手元が暗いと作業がしづらくなり、手を切ってしまう危険性もあるので注意しましょう。
くつろいで過ごしたい寝室やリビングなど、場所を限定して設置するのがおすすめです。
コーニス照明のメリット・魅力
高級感ある空間を演出できる
コーニス照明は、光の使い方次第で開放感や高級感を表現できることから、ホテルのロビーやレストラン、商業施設などでも広く採用されている照明です。コーニス照明を取り入れることで、特別感のあるラグジュアリーな空間に演出できます。
広々とした印象を与えられる
壁やカーテンなどの広い面を明るく照らせるコーニス照明を取り入れることで、広々とした空間であるような印象を与えられます。また、壁全体を明るく照らせるコーニス照明なら、日当たりの望めない部屋に取り入れて明るさを補うことも可能。ただ、光の強さや照らす範囲によってはまぶしく感じてリラックスできないこともあるので、部屋の用途に合わせて計画しましょう。
光の陰影やグラデーションがインテリアのアクセントになる
コーニス照明は、光の当たる壁の素材・形状などによって光の陰影やグラデーションが生まれ、インテリアのアクセントとして楽しめます。光を使って理想とするイメージや雰囲気を表現できるのが、コーニス照明の魅力です。
コーニス照明の注意点・後悔しないためのポイント
配置によっては明るさが均一にならない
コーニス照明は均等な間隔で配置しないと、光の広がりをきれいに表現できず、明るさも均一ではなくなるので気をつける必要があります。また、光源や電球を交換する際も、明るさや光の色によって部屋の雰囲気が変わってしまうので注意しましょう。
家具との位置関係に注意する
コーニス照明を配置する際、家具との位置関係にも注意が必要です。光を反射しやすい光沢のある家具や床材だと光源が写りこんでしまうので、光源の角度を決める際は光が直接当たらないようにしましょう。明るく照らしたいものがある場合は、光がきちんと届くように配置することが大事です。
また、スポットライトとしてコーニス照明を活用したい場合は、光源の明るさや高さにも注意する必要があります。光が弱すぎるとコーニス照明の魅力を十分に発揮できないので、照明計画は慎重に立てましょう。
コーニス照明を設置する目的を明確にする
コーニス照明を効果的に取り入れるには、設置する目的を明確にすることが大切です。たとえば来客が多いリビングをおしゃれに演出したいならデザイン性を重視し、寝室ならリラックスできるように明るさや配置に気をつける必要があります。お気に入りの絵画やインテリアを空間の主役にしたい場合は、コーニス照明が目立ち過ぎないように光の明るさや照らす範囲を調整しましょう。
光源が目に入らないようにする
光源が目に入ってしまうとデザイン性が損なわれてしまうので、光源が直接見えないように設置しましょう。光源を隠す方法としては、壁を一部凹ませる、またはカーテンボックスのような空間を作ってそこに設置するといった方法があります。角度や立つ位置によって光源が見えてしまう場合は、目隠しとなる幕板を設置するのがおすすめです。
おしゃれな空間づくりは照明計画からはじまる
コーブ照明やコーニス照明といった間接照明は、空間をおしゃれに彩る演出装置としての役割を担っています。光の使い方によってさまざまな表現ができるので、豪邸をよりラグジュアリーな空間に演出することも可能。光が生み出す陰影やグラデーションは芸術的な美しさがあり、豪邸で過ごす時間をより豊かで、特別なものにしてくれます。