サステナブル建材とは
サステナブル建材とは、社会・経済・環境の三つの観点から持続可能性を追求した建材のことです。「長寿命であること」「永続的な製造が可能であること」「環境への負荷が少ないこと」「快適な暮らしを支えること」などが求められます。
サステナブル建材は大きく、リサイクル建材とアップサイクル建材の2種類に分類されます。
リサイクル建材は、建築で使用された資材を原材料として再製品化、または再利用できるようにしたものです。たとえば、使用済みの石膏ボードを粉砕して新しい製品に再生したり、廃棄された蛍光灯をリサイクルガラスとして活用したりといった例が挙げられます。
一方、アップサイクル建材は、廃棄物の素材や特徴を活かしながら、新たな付加価値を加えた建材のことです。古材やコーヒーかすを利用した内装ボードをはじめ、茶殻を使って消臭効果を持たせた畳、廃棄予定の化粧品を原料とする壁紙などがその代表例です。
サステナブル建材の特徴・メリット
環境負荷を軽減できる
環境省が発表している「建設廃棄物の現状」によると、平成30年度の全産業廃棄物排出量の約2割を建設廃棄物が占めています。このことからも、廃棄物をいかに抑制し、再利用していくかが大きな課題であることがわかります。
サステナブル建材は、こうした課題の解決に貢献できる建材です。再利用や再生によって、廃棄物や二酸化炭素の排出量を削減できる点が大きな特徴です。
たとえば木材は、建材としての役割を終えた後も再利用・再使用が可能です。さらに、適切な量を伐採したあとに植林を行うというサイクルを繰り返すことで、永続的な再生産を実現できます。また、最終的には土に還すこともできるため、環境負荷を軽減する代表的なサステナブル建材のひとつといえます。
※参照元:環境省「建設廃棄物の現状」[PDF](https://www.env.go.jp/content/900532468.pdf)
耐用年数が長い
サステナブル建材は、従来の建材に比べて価格がやや高いものの、耐用年数が長いという大きな特徴があります。
たとえば、一般的なコンクリートの耐用年数が約50年とされるのに対し、サステナブル建材のひとつである漆喰は100年以上持つと言われています。耐久性が高く、経年劣化しにくい素材として古くから重宝されてきました。
また、漆喰は塗り替えの頻度が少なく、メンテナンスの手間もほとんどかかりません。このように、耐用年数の長い建材を採用することで、資源の無駄遣いを抑え、長期的なコスト削減にもつながります。
快適な住環境を実現できる
木材や自然由来の素材を用いることで、化学物質によるシックハウス症候群や化学物質過敏症のリスクを軽減できます。また、断熱性に優れた建材を選ぶことで、熱中症やヒートショックなどの健康リスクから身を守ることも可能です。
サステナブル建材の中でも、木材は断熱性・調湿性に優れており、紫外線や音を吸収する働きも持っています。そのため、快適で健やかな住環境の実現に大きく貢献します。
さらに、木材には免疫力を高めたり、心を落ち着かせたりする効果もあり、リラックスや安眠といった心理的なメリットも期待できます。このように、木材は環境面だけでなく、健康面でも優れた効果を発揮するサステナブルな素材です。
サステナブル建材の主な種類
木材
日本は森林資源に恵まれており、木材は国内を代表するサステナブル建材のひとつです。長寿命でメンテナンス性が高く、再利用や再使用ができる環境にやさしい資源として注目されています。
さらに、適切な量だけを伐採して新たに植樹することで再生産も可能です。木を伐採せずに、木くずやその他の素材を粉砕・成型して製造する「再生木材」も、木材の代替資源として活用が広がっています。
また、外国産の木材を使用すると輸送時に二酸化炭素が排出されるため、運輸エネルギーを抑えられる国産材や地産材の利用が推奨されています。
木材は断熱性・調湿性に優れているうえ、ストレスの軽減やリラックス作用などの健康面でのメリットも持ち合わせており、機能性と快適性を兼ね備えた建材といえるでしょう。
自然素材
木材以外の自然素材もサステナブル建材として用いられており、代表的なものに土壁・漆喰・珪藻土などがあります。
なかでも漆喰は、消石灰(水酸化カルシウム)を主原料とする自然素材で、優れた強度・耐水性・耐火性を備えているのが特徴です。職人の手仕事による仕上げ加工のため費用はかかりますが、塩化ビニール壁紙に比べて劣化しにくく、長持ちするという利点があります。
これらの自然素材は化学薬品を使わずに製造できるため、解体や廃棄の際にもそのまま自然に還すことができます。近年では、植物由来の原料を使用し、土に還る壁紙なども登場しており、サステナブル建材の選択肢はますます広がっています。
リサイクル材
木材や自然素材以外の建材でも、再利用できるものは「リサイクル材」として活用されています。
代表的な例は金属です。たとえば鉄スクラップを回収して再利用すれば、リサイクル鉄としてさまざまな用途に活用できます。そのほかの金属やアルミニウムも、建材から建材へと再利用されるケースが増えています。
これまで廃棄されていた建材を新たな資源として再利用することで、廃棄物の削減やエネルギー消費量の抑制につながる点が、リサイクル材の大きなメリットです。
また、一般家庭で廃棄されるガラスも、リサイクル材の原料として再利用が進んでいます。以前は再利用が難しかった色付きガラス瓶なども、現在では超軽量のタイルなどの主原料として活用されるようになりました。
さらに、リサイクルが難しいとされてきたコンクリート廃棄物についても、骨材として再利用するための技術開発が進められています。
次世代のサステナブル建材
環境負荷をさらに軽減する新素材も、次世代のサステナブル建材として実用化が進んでいます。
その一例が、ノンフロン断熱材や二酸化炭素を吸収するコンクリート、廃棄衣類や食品の繊維を再利用したボード、家庭や工場から排出される廃棄物を原料としたタイルなどです。なかでもノンフロン断熱材は、オゾン層を破壊するフロン類を含まないのが特徴で、高い断熱性によって冷暖房の使用を減らし、エネルギー削減にも貢献します。
そのほかの建材も、二酸化炭素や廃棄物の排出削減に寄与することが期待されています。
木材・無垢材が評価される理由
サステナブル建材のなかでも、とくに代表的なのが木材や無垢材です。ここでは、それらが高く評価される理由を詳しく見ていきましょう。
地球温暖化の抑制や森林の機能保持につながる
地球温暖化対策として、低炭素型コンクリートやCO₂を吸収するコンクリートなど、環境負荷の少ない建築材料の研究開発が進められています。しかし、実際の建築現場での採用例はまだ多くなく、実験段階にとどまっているのが現状です。
一方で、日本では古くから林業が盛んで、木材が建築材料として幅広く活用されてきました。計画的な伐採と植林を繰り返すことで森林が活性化し、地球温暖化の抑制にも寄与します。
さらに、森林で生まれた有機物が豊かな土壌をつくり、川を通じて海へと栄養が運ばれることで、植物プランクトンが増加します。それによって動物プランクトンや魚が育ち、自然界の循環が保たれます。
木が活用されずに伐採・植林のサイクルが止まってしまうと、森林は衰退し、生態系の損失を招くおそれがあります。世界の陸上生物の約80%が森林に生息しているといわれており、木材・無垢材を適切に活用することは、森林の機能維持と生物多様性の保全につながります。
建物の長寿命化を実現できる
木造建築に対して、「シロアリや腐朽の被害を受けやすく、耐久性が低い」という印象を持つ人もいるかもしれません。
しかし、実際には被害の受けやすさは構造そのものではなく、周辺環境やメンテナンスの状況によって左右されます。数百年前に建てられた木造の寺社仏閣が今も現存していることからも、木材の耐久性が決して低くないことは明らかです。
長寿命な木造建築を実現するためには、設計段階で雨水対策や通気・換気の確保、適切な防腐・防蟻処理を行うことが重要です。さらに、定期的な点検や補修を継続することで、世代を超えて長く住み継げる住まいを守ることができます。
再利用・再使用・再生産ができる
木材・無垢材がサステナブル建材として高く評価される理由のひとつに、再利用・再使用・再生産が可能である点が挙げられます。
鉄やアルミニウム、プラスチック、石油といった資源は、再使用や再利用はできても、資源そのものを再生産することはできません。一方で木材は、適切な量だけを使用し、伐採した分を植えて育てることで再生産が可能です。
建材としての役目を終えた後も、再利用・再使用・再生産ができる貴重な循環型資源として、木材・無垢材は高く評価されています。
快適な室内環境を実現できる
木材は断熱性や調湿性に優れ、紫外線や音をやわらげる働きを持つ建材です。また、木の香りに含まれる成分には、ストレスの軽減やリラックス効果をもたらす作用があり、心地よい室内環境をつくり出します。
さらに、木材には免疫力を高める、疲労感を和らげる、安眠を促すなどの健康面でのメリットもあります。そのため、住宅だけでなく、教育施設・福祉施設・オフィスなど、心身の快適さが求められる空間でも木材が積極的に採用されています。
サステナブル建材で家族と地球に優しい邸宅を実現
これまで廃棄されていた建材を新たな資源として再活用することで、地球環境に配慮した住まいを実現できるのがサステナブル建材です。廃棄物や二酸化炭素の排出を抑える効果に加え、優れた断熱性や耐久性など、建材として高い機能を備えている点も大きな魅力といえます。
また、自然由来のサステナブル建材は、健康にもやさしく、快適で上質な住空間を生み出します。人と環境のどちらにも寄り添う素材を選ぶことで、未来へと続く、持続可能な邸宅づくりが叶います。


