照明計画とは?
照明計画では、家を建てる前に照明をどこに配置するのかの計画を立てます。照明によっては家を建てた後に設置するのが難しいものもあるほか、家具の配置とのバランスでくつろげない空間になってしまうことも多いため、照明計画を立てる際は家具とセットで考えることが大切です。また、照明には主照明や補助照明などの種類があり、部屋の目的や理想とする雰囲気に合わせて照明計画を立てる必要があります。
高級感のある照明のアイディア
陰影の差を作る
一般的な住宅の場合、部屋全体を均一に照らす1室1灯が基本です。それを豪邸の照明計画にそのまま持ち込んでしまうと、豪邸ならではの高級感や特別感をうまく生かしきれない可能性があります。豪邸の照明計画を考える際は、「陰影の差」を意識しましょう。
私たちの体は、原始時代の頃の昼間は外で狩りを行ない、夜は暗い洞窟で眠るというリズムがDNAに組み込まれているとされ、全体が明るい空間よりも陰影の差があるほうがリラックスできると言われています。そのため、明るさが必要なところにのみ照明を配置して陰影の差を作ることで、くつろぎの空間が生まれます。
配置する照明は1つではなく、部屋の中に複数点在させるのがポイント。たとえば、ダイニングテーブルで読書をする際、ダイニングテーブルのほかに観葉植物や壁の絵などを照らすやわらかい光が点在していると心が安らぐ落ち着いた空間を演出でき、読書を楽しむ時間がより贅沢なものとなるでしょう。
照明(光)の重心を下げる
人がくつろぐときの姿勢は、床に寝転んだりソファに座ったり、と床に近い位置にあることが多いため、照明の重心を低くすることで安らぎを覚える空間を演出できます。見ていると気持ちが落ち着く暖炉の火やテーブルの上のキャンドルの灯り、地平線に沈む夕日などが低重心の光です。
ただ、すべての照明の重心を下げると、バランスの悪い空間になってしまいます。そのため、くつろげる空間にしたい場所の照明計画を考える際に、光の重心を意識すると良いでしょう。人の視線がとまる範囲は水平な目線から上下30度と言われているので、その範囲に照明器具を設置するのがおすすめです。
間接照明を効果的に取り入れる
高級感や特別感のあるホテルライクな空間にしたいときは、間接照明を上手く取り入れましょう。間接照明とは照明器具を見えないように天井や壁などに埋め込んだもので、天井や床、壁などに反射したやわらかな光が部屋を照らしてくれるのが特徴。間接照明のやわらかな光は幻想的な雰囲気を演出してくれるほか、リラックス効果もあり、くつろぎの空間を実現できます。
たとえば、リビングスペースを一段低く設置したロースタイルリビングの段差部分に間接照明を取り入れると、低重心の光で落ち着いた雰囲気に仕上がるでしょう。また、間接照明で足元に目を向けさせることで、段差があることを示す注意喚起としても効果的です。
色や温度を工夫する
不快なまぶしさが直接目に入らない照明計画を立てるのも、くつろぎの空間を演出する上で重要なポイントです。たとえば、まぶしさを感じやすいLEDライトを寝室に設置する場合、ベッドの位置を決めてから照明計画を立てないと、まぶしい光が目に入って眠れないということになりかねません。また、家族でくつろぐリビングも、ソファをはじめとした家具の配置を考えてから照明計画を立てるようにしましょう。
成長に応じて家具のレイアウトが変わりやすい子ども部屋の場合、光の強さや色をリモコンで調節できる照明がおすすめです。また、リビングやダイニングで勉強または仕事する場合も、作業に適した明るさを確保できるように調光可能な照明器具を取り入れると良いでしょう。
そのほかにも、暖かみを感じさせる色温度の照明を選ぶことも、くつろぎの空間を演出するのに効果的です。ただ、色温度に関しては好みが分かれやすいため、家族の好みや夜の過ごし方を考慮したうえで選ぶことをおすすめします。
照明の種類
主照明
主照明は全体照明とも呼ばれ、部屋全体を明るく照らすことを目的とした照明です。天井の真ん中に設置するシーリングライトが一般的ですが、そのほかにもさまざまな種類があります。
シーリングライト
シーリングライトは天井に直接取り付けることができ、日本の住宅でよく使われる最も一般的な照明器具です。主照明のなかでも光量が多いため、部屋全体を明るく照らしたいときに適しています。デザインや明かりの表情がシンプルなのでインテリア性は高くないものの、どの部屋に設置しても浮かないので、設置場所を選びません。
ペンダントライト
シーリングライトが部屋全体を明るくするのに対し、ペンダントライトは照らしたい部分だけを明るくしてくれる照明器具です。天井からコードやチェーンなどで吊るされており、シェードの大きさやコードの長さ、電球などで明るさを調整することが可能。たとえば、ダイニングテーブルに並べた食事を美味しく見せたい場合は、ペンダントライトの明かりは20~40w程度に落とすと良いでしょう。
ペンダントライトは補助照明としての一面もあるため、部屋全体を明るく照らすダウンライトやシャンデリアなどと組み合わせて使用されます。ペンダントライト1個だけで部屋全体を明るく照らす場合は、部屋の広さに対応するW数相当の電球を選びましょう。
シャンデリア
シャンデリアは、照明器具としてはもちろん、空間を華やかに演出してくれるインテリアとしての役割も持っています。シャンデリアの電球は上を向いているため、同じ明るさのシーリングライトを設置した場合と比べて、部屋が暗く感じるのが特徴。暗さが気になる場合は補助照明と組み合わせるか、シャンデリアの長さを調整して低くすることで解決できます。
ダウンライト
ダウンライトは天井に埋め込むタイプの照明器具で、1つひとつの光は弱いので複数設置するのが一般的です。照明器具が目立たないため、部屋をスッキリと見せることができます。主照明としてだけでなく、リビングや寝室の補助照明として使用することも可能。また、お気に入りのインテリアを目立たせるように照らすといった使い方もできます。
ダウンライトのなかには光の色や明るさを調節できる機能を備えたものもあり、アイディア次第でさまざまな楽しみ方ができるのが魅力です。
補助照明
補助照明とは主照明の明るさを補ったり、空間の一部のみを照らしたりする照明器具を指し、部屋の雰囲気をつくる役割を担っています。
スポットライト
スポットライトは、特定の場所を部分的に照らすように使う照明器具です。一部分だけ照らして陰影をつけたり、部屋の立体感を演出したりする効果があります。ライトの角度や向きを自由に変えられるため、お気に入りの絵画や植物を目立たせるように照らす演出も可能です。
ただし、光が強いので、直接目に入らないように取り付け位置を工夫する必要があります。
スタンドライト
テーブルや床の上などに置いて使うタイプの照明で、読書灯として使用したり、間接照明として部屋の雰囲気を演出したりすることができます。床に直置き、または立てて使うタイプのものは天井を照らすデザインを選ぶと、部屋に奥行きやメリハリをつけることが可能。また、簡単に持ち運びができ、さまざまな部屋で使用できるのもスタンドライトならではの魅力です。
ブラケットライト
壁に取り付けるタイプの照明器具で、天井に照明を取り付けにくい階段や吹き抜けなどの場所でよく使用されます。デザイン性が高いものが多く、インテリアのアクセントとして使われることもある照明器具です。主照明と組み合わせて設置することで、陰影による空間演出が可能。また、屋内用や屋外用、直接または間接的に光をあてるタイプなどさまざまな種類があるため、設置場所に合わせて検討しましょう。