クイーンアン様式とは
クイーンアン様式は、18世紀前期のイギリスでアン女王が在位していた時代に生まれた、建築や家具の装飾様式です。
それ以前に流行していたエリザベス様式が豪華絢爛な装飾を優先していたのに対し、クイーンアン様式では美しさと機能性の調和が重んじられました。中世末期から近世初期にかけての伝統的な要素を取り入れ、中世の城を思わせる外観をもつことが特徴です。
やがてクイーンアン様式は、イギリスの入植時代にアメリカへも広まり、大流行しました。アメリカに渡った後は、イギリスの伝統的な趣を受け継ぎつつ、華やかな意匠や装飾がより強調されたデザインへと発展していきます。
時代ごとに新しいアイデアや技術を取り入れながら変化を重ねてきたクイーンアン様式ですが、その優美さは今もなお受け継がれています。
クイーンアン様式を取り入れた家の特徴
左右非対称の外観
クイーンアン様式の家は、左右非対称の外観をしているのが大きな特徴です。
なかでも目を引くのが、中世の城を思わせる多角形の塔屋。外観に華やかさを添えるだけでなく、内部の構造も多角形になることで、複数の窓からやわらかな光をたっぷり取り入れることができます。塔屋をもつクイーンアン様式の家ならではの魅力です。
また、屋根付きの玄関ポーチ「カバードポーチ」もよく見られます。軒先に幹飾りや妻飾りといった装飾を施すことで、クイーンアン様式らしい優美な外観がいっそう際立ちます。
ダブルハング・ウィンドウ(上げ下げ窓)を採用
日本の住宅では、左右にスライドする引き違い窓が一般的ですが、クイーンアン様式の家で多く見られるのは、上下に開閉するダブルハング・ウィンドウです。洋風の趣を演出でき、城のように優美な外観をもつクイーンアン様式のデザインとも美しく調和します。
また、ダブルハング・ウィンドウは上下の窓をそれぞれ開けられるため、通風に優れた心地よい空間をつくることができます。さらに、引き違い窓に比べて横幅が狭く、開け閉めにもやや力が要るため、外からの侵入を防ぎやすいという利点もあります。
装飾材で彩られたエレガントな内装
イギリス建築をはじめとする西洋建築で欠かせないのが、室内を上品に彩る装飾材です。
代表的なものとしては、壁や天井に飾り彫りや段差のあるデザインを施す「モールディング」があげられます。凹凸のある装飾が光と影を生み出し、邸宅にふさわしい重厚感と優雅さを演出してくれます。
モールディングを取り入れるだけで、室内の印象は驚くほど変わります。空間全体に深みと品格をもたらしてくれるでしょう。
時を超えて愛される、イギリスの建築美を我が家に
クイーンアン様式は、18世紀のイギリスで生まれ、今もなお多くの人々を魅了し続ける建築様式です。
中世の城を思わせる壮麗な外観、気品ある佇まい、そして優美な内装。そのすべてが、住まう人に誇りと風格をもたらしてくれるでしょう。
流行に左右されない美を我が家に取り入れたいなら、クイーンアン様式という選択がふさわしいかもしれません。


