掘りごたつが豪邸にもたらす心地よさ
畳の上で正座を続けると、足や膝に負担を感じることがあります。一方、椅子とテーブルを中心とした暮らしでは、畳の上でくつろぐ心地よさを味わう機会が少なくなりがちです。掘りごたつなら、畳のある空間で脚を伸ばして座れるため、和の雰囲気と座りやすさを両立できます。
床下に脚を下ろせるので、一般的な座卓よりも足を曲げ続ける負担を減らせます。家族との食事や団らん、来客との会話など、さまざまな場面で使いやすいのも魅力です。ただし、座り心地は穴の深さや天板の高さ、使う人の体格によって変わります。
意匠面では、畳のなかに設けられた掘りごたつが、和室に変化と奥行きを生み出します。畳の整ったラインと、木の天板や座卓の質感が調和すれば、落ち着きのある上質な空間に仕上がります。
掘りごたつは、家族や来客と過ごす時間だけでなく、一人でくつろぐ場にも向いています。読書や書き物、季節の手仕事など、畳の上で姿勢を楽にして取り組めるため、日常生活に落ち着いた時間を取り入れられます。
掘りごたつの主な型
掘りごたつは、設ける場所によって使い方や空間の印象が変わります。豪邸に取り入れる際は、日常の過ごし方や来客の頻度に合わせて、設置する場所を検討しましょう。
和室の掘りごたつ
和室の中央に掘りごたつを設ける、伝統的な雰囲気を活かした構成です。客間として使う場合は、床の間や違い棚と組み合わせることで、落ち着いたもてなしの空間になります。家族の団らんにも使えるため、格式と実用性を両立したい場合にも向いています。
格天井や障子、畳などの意匠を丁寧に組み合わせると、和室全体に統一感が生まれます。天板の木目や形状にもこだわれば、掘りごたつ自体が空間の見どころになります。
畳リビング・畳コーナーの掘りごたつ
LDKの一角に畳スペースを設け、そのなかに掘りごたつを組み込む方法です。リビングとつながっているため、家族がそれぞれ別のことをしながら同じ空間で過ごせます。食事やくつろぎの場として日常的に使いやすいのも特徴です。
畳スペースを小上がりにすると、段差部分を腰掛けとして活用できます。ただし、小さな子どもや高齢の家族がいる場合は、段差による転倒にも配慮し、上り下りしやすい高さや動線を検討しましょう。
ダイニングの掘りごたつ
ダイニングテーブルの代わりに掘りごたつを設け、食事の中心にする方法です。朝食や夕食はもちろん、家族での会話や子どもの宿題など、日常のさまざまな場面に活用できます。
来客が多い住まいでは、椅子を使うダイニングとは別に掘りごたつのある空間を設け、用途に応じて使い分けることもできます。食事をする人数や配膳の動線、座る人同士の距離を考慮して、十分な広さを確保しましょう。
掘りごたつの造作と素材
掘りごたつの使いやすさや見た目は、床下の穴の寸法、畳や周囲の床材、天板の素材によって変わります。豪邸にふさわしい仕上がりを目指すなら、空間全体のデザインと座り心地の両方を考えて選ぶことが大切です。
寸法と座り心地
掘りごたつの深さは、脚を下ろしたときの姿勢や立ち上がりやすさを左右します。寸法を決める際は、使用する人の体格や座る姿勢、天板の高さとのバランスを確認しましょう。一般的な目安だけで決めず、実際に座ったときの感覚も踏まえて調整することが大切です。
複数人で使う場合は、座る人数に合わせて穴の幅や長さを決めます。4〜6人で囲むなら、足を動かす余裕や膝がぶつからない間隔も必要です。天板の大きさだけでなく、周囲の通路や配膳スペースまで含めて計画すると、ゆったりと使える掘りごたつになります。
畳と周囲の床材
掘りごたつは、畳と穴の縁の納まりが仕上がりを左右します。畳の厚みや縁の処理を丁寧に計画すると、床面がすっきりと整います。縁なし畳なら現代的な印象に、縁付き畳なら伝統的な和室の雰囲気を演出できます。
LDKの畳コーナーに設ける場合は、フローリングとの境界もデザインのポイントです。小上がりの立ち上がりに木材などを使えば、畳スペースを家具のように見せられます。周囲の床材や家具との色・質感のバランスも考えて選びましょう。
天板と座卓
天板は、掘りごたつの印象を決める重要な要素です。木目の美しい無垢材や一枚板を選べば、木の質感が際立つ落ち着いた空間になります。漆塗りの座卓を合わせると、和室に格式のある雰囲気を加えられます。
天板を取り外せる構造にしておくと、内部の掃除や点検がしやすくなります。夏場に座卓として使う場合や、季節の行事に合わせて室内のしつらえを変える場合にも便利です。重量のある天板を採用する際は、安全に取り外せる方法も検討しましょう。
掘りごたつを一年中快適にする設計
掘りごたつは、冬の暖かさだけでなく、夏の使い方や日常の手入れまで考えて設計することが大切です。床下の構造や暖房方式、掃除のしやすさをあらかじめ検討し、長く使える造作に仕上げましょう。
床下の断熱
掘りごたつは床下に空間を設けるため、断熱や気密の計画が不十分だと、足元が冷えやすくなります。床下の穴の底面や側面の構造を確認し、建物全体の断熱計画に合わせて対策を講じましょう。
床下の空気がそのまま入り込まない構造にすることも大切です。基礎断熱や床断熱など、住宅の断熱方式との整合性を取りながら、必要に応じて暖房設備も組み合わせると、冬場の快適性を高められます。
暖房の方式
掘りごたつには、専用の電気ヒーターを設置する方法や、住宅の暖房計画と組み合わせる方法があります。専用ヒーターを使う場合は、製品の仕様や安全上の注意を確認し、熱源と布団、配線などが適切に納まるように設計しましょう。
全館空調を採用していても、掘りごたつ内部まで十分に暖まるとは限りません。住まい全体の室温だけでなく、足元の温度や使用時間も考慮し、必要な暖房方式を選ぶことが大切です。
夏の使い勝手
掘りごたつを一年中活用するなら、暖房を使わない季節の過ごし方も考えておきましょう。天板を外して内部に専用のふたを設ければ、通常の畳スペースとして使いやすくなります。座卓として使う場合は、季節に合わせて座布団や室内のしつらえを変える方法もあります。
内部をふさぐ部材は、床面との段差や安定性に配慮して設計することが大切です。使わない季節の見た目や安全性まで考えておけば、夏場も空間を無駄なく活用できます。
日常のお手入れ
掘りごたつは、内部にほこりや食べこぼしが落ちやすいため、掃除のしやすさも設計段階で確認しておきたいポイントです。底板や内側の壁面を拭き取りやすい仕上げにし、ヒーターや配線を点検できる構造にすると、日々の手入れがしやすくなります。
天板や内部のふたを取り外して掃除できるようにしておくと、隅にたまった汚れも取り除きやすくなります。暖房器具を使用する場合は、電源を切って十分に冷ましてから、製品の取扱説明書に沿って清掃・点検しましょう。


